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Lycan「(Canadianは)競技者であり、自らが信じるものに心血を注いでいます」

5月11日からパリで開催されるS.I.2021に向けて、SiegeGGはSpacestation GamingのコーチLycanにインタビューを行った

Lycan「(Canadianは)競技者であり、自らが信じるものに心血を注いでいます」

2020年2月17日のことだった。Spacestation Gaming (SSG) のコーチ、Justin "Lycan" Woodsはその場を行きつ戻りつしており、緊張のためか、穏やかそうな顔つきからは感情が抜け落ちていた。

何の話かと言うと、シックスインビテーショナル2020だ。マップは「クラブハウス」。ラウンド9。

幸いにして、HPがゼロに近いにもかかわらず、Javier "Thinkingnade" DeAndre Escamillaが重要な場面でクラッチを決め、Spacestation Gamingはその軌道を元に戻した。その後のことは歴史にある通りだ。

それから約1年半が経過し、Lycanと5人の選手たちは再び成功を収めるべく準備をしているところだ。しかし彼と彼がコーチを務めるチームにとって、それから事態は大きく変化し、いっそう悪化しつつある。

昨年タイトル獲得し、新型コロナウイルス感染症のまん延によって2021年大会の延期が発表された後の3月に、伝説のキャプテンでありインビテーショナルを2度制覇したTroy "Canadian" Jaroslawskiがシージを引退した。G2 EsportsのタリスマンたるNiclas "Pengu" Mouritzenと同様に、試合で戦うモチベーションを無くしてしまったのだ。

Canadianの引退は、「元」チームメイトやスタッフたちから支持を得られたものの、2021年シーズンの開幕を1週間後に控えていたSSGは窮地に立たされてしまった。

ルールでは、たとえフリーエージェントであっても他の選手と契約することができなかったため、Spacestation GamingはアナリストのLuke "Luke" Slotaを北米リーグ・ステージ1のロースターに起用せざるを得なくなった。

予想された通り、ステージ1はうまくいかなかった。SSGは8試合で3勝、オーバータイムで3敗を喫し、12ポイントの7位に終わった。

残った主力選手と、新たに契約したアナリストのDrew "DrewSpark" Spark-Whitworth、そしてトップレベルの経験は浅いにも関わらずLukeが尽力したからこそ、この程度の成績で済んだのだろう。

しかし、ファンはSNSやTwitchのチャットで、Lukeのパフォーマンスに不満の声を上げていた。「ひどいという程ではないがCanadianよりは悪い」といった具合だ。実際のLukeのレーティングは0.77で、Susquehanna SoniqsのキャプテンであるSeth "supr" Hoffman(0.76)とbeastcoastのキャプテンであるJoseph "Phozzo" Eisenmann(0.69)を抑えた形でステージ1を終えた。

残念なことに、最善を尽くしたLukeだったがこの手の言葉には傷ついたようだ。この件に関して、SSGチームや多くの北米リーグの人々はLukeを中傷する人々に反論し、彼の状況は彼自身のせいで生じたものではない点を強調していた。

しかしほんの3日前、Lukeのパスポートの更新が間に合わなかったために、今回限りという条件で、SSGはCanadianがシックスインビテーショナルでロースターに復帰することを発表した。

SSGのステージ1での苦難とインビテーショナルに向けた取り組みについて、SiegeGGはLycanから話を聞かせてもらった。

今シーズンは大変でしたね。Canadianが抜けて、チームはどのような反応を示したのか。また、シーズンを通して精神面、感情面ではどのように推移したのかを聞かせてください。ルールに対する不満はありますか? 

ええ、結果で見ると厳しいシーズンでした。ルールに対する不満の多くは、私たちは何の助けも得られないと言われたときにはっきりと感じました。第1ステージでは事がうまく運ばず、間違いなく自分たちだけが腐ってしまっているような感じがしたんです。 

メンタル全体に関して言えば、選手たちは非常によく耐え抜いてくれました。誰になろうと、5人目の選手をピックしていくことに集中して、また頂点を目指したいと思っています。待たされるのは嫌ですが、私たちがルールを作るわけにもいきません。基本的には、力を完全に取り戻すまでただ待っているところです。

 Lukeはプロの試合経験がないにもかかわらず、土壇場で出場せざるを得ませんでした。彼は光に導かれし者というわけではありませんが、ステージ1で最高のプラント回数(11回)だったという点では、悪くない成績だったのではないでしょうか? 

Luke。シックスインビテーショナル2020で優勝ケイバーを掲げる

彼のようにチャンスを与えられた人間なら誰でも、自分自身に大きな希望、そして期待を抱くものです。

私が思っていたよりもずっと、彼がタフだったことには非常に感銘を受けました。コミュニティから集中砲火を浴びて、最初は自分を責めていたと思います。試合後のインタビューで語ったように、それは彼にとって辛いことでした。それでも毎日姿を見せ、学習し、より強くなろうと努力し続けていました。

その結果、XSET戦では6-5ポイントの状況でクワッドキルを決めて勝利し、上位シードへのチャンスを掴みました。ステージ1がとりわけひどかっただけに、彼やチームにとってはとても嬉しいことでした。 

ファンというものは、自分の言葉が選手という普通の人間に与える影響を忘れがちです。彼らの言葉はLukeにどれほどの影響を与えたのか、そしてチームはLukeを中心にどのように団結したのでしょうか。 

ええ、ファンの言葉は明らかに彼やチームに影響を与えました。友人やチームメイトを傷つけられるのが好きな人なんていませんし、味方になってあげたくもなる。もう一度チームが守備的ながらも団結できたのは、この事態が彼が望んだものではなかったからです。ルールが未発達だったために、共に試合をすることを余儀なくされただけなんです。

もう一つ、私がなぜ他の人たちのようにツイートをしなかったかというと、これがプロのアスリートとしての私たちのあり方、その一部だからです。私たちはベスト・オブ・ザ・ベストであり、皆さんはそんな私たちを支持し、優勝候補として応援してくれています。火曜と水曜の夜はシージを見てくれなんて言うだけで、誰が見るんですか。皆さんはそれぞれの信条に基づいて、こちらが成功したり大失敗したりするのを見たいと思っている。その気持ちをあらゆるプラットフォームで表現しているだけです。

メンタルの争いは、良いパフォーマンスを出すための大きな要素であり、ファンが試合に参加できる唯一の要素です。皆さんが私たちの試合に夢中になり、その試合が皆さんにとって大きな意味を持つ、というのが好きなんです。そうでなければ、なぜこんなことをしているのでしょうか? もちろん「しょうもない話」が実際に個人への侮辱や殺害予告にまで発展したら問題ですが、軽いものであれば問題ないでしょう。

オフライン環境のレギュラーシーズンでも上手くプレイできましたか?

オフラインは最高!できればもっと良いパフォーマンスを見せたかったんですよ。うちは常にオンラインよりオフラインの方が得意なので。5人目の選手が見つかったら、早く外に出たいと思っています。北米のシージがオフラインであることは嬉しいです。

Canadianが帰ってきました!どうやって戻ってきたんでしょうか?Lukeのパスポートの有効期限が切れて、彼が戻ってきたんですか?

その質問は答えそのものですね。

Lukeのパスポートは2020年後半に期限切れになったんですが、パンデミックの最中はどこにも出かける予定がなくて、パスポート更新のために外出することもなかったんです。

それから(2月に)インビテーショナルが近づいてきて、会場に入れるのは5人と1人(選手とスタッフ)だけということになり、Lukeは同行できなくなった。だから更新を急ぐ理由も無かったんです。

その後でTroyが引退して、気付いたんです...。すぐ更新しなくちゃって。がんばってはみたんですが、現在政府機関は検疫やら人員不足やらで仕事が非常に遅くなっているので、とにかく無理だったんです。

Troyに電話して、経緯を説明しました。しばらく間を置いてから、「私がプレイすることになるのは勘弁してくれ」と彼にお願いしたんですよ(笑)

Troyはメンタルを入れ替え、今や競技モードになっています。変化も見られません。素晴らしい友人で最高のチームメイトで、特に今回の出来事の後、SSGが人数不足になるのを許さなかった。真の仲間ですね。

5週間ほど試合から遠ざかっていたことで、Canadianのシージスキルは著しく低下していないんでしょうか? メンタル面ではどうでしょうか? 皆さんは彼こそまさに6人目の選手とばかりに話しているようですが。 

それは「今さら言っても遅い」という時が来るまでは、本当の答えが出ない質問の一つですね。

IGL(ゲーム内リーダー)のようなスキルは? 私の意見では、問題無しです。彼はイヤー1からIGLをやっているので、自分の仕事を忘れることはないでしょう。シューターとしてのスキルはと言うと、彼は引退する前も、引退後も『VALORANT』に多くの時間を費やしていました。『VALORANT』の方がより高いエイム力が要求されると思うので、私としてはそれで良しです。

メンタル面の話は難しいのですが、Troyは競技者であり、自らが信じるものに心血を注いでいます。彼はもうやり切ったと感じていたので、私たちは彼を解放してあげたんです。試合から離れれば、今はシージを嫌いにならずに済むでしょうから。しかしインビテーショナルが終われば、彼は再びやり切って良かったと感じてくれるかもしれません。見ててください。

これで2020年のタイトルロースターが再び揃いました。グループ突破のチャンス、そしてタイトル防衛に向けて大会全体のチャンスをどのように見積もっていますか? 

気分的には100%うまくいきます!現実は70%くらいですかね?

正直なところ、うちは完璧なロースターだと個人的には思っています。だから去年は優勝できたし、常に頂点付近にいるんです。最大の問題は、世界の強豪チームと対戦する前に9日間しか練習できないことです。

馬鹿ではないので、厳しいことは分かっています。それでも勝ち筋を見つけることができるでしょうか? 1000%、できます。

インビテーショナルではどんな目標を持っていて、それを達成する自信はどのくらいありますか?

目標は優勝です。楽しいからこのゲームを続けているわけではありません。勝つために、SSGをチャンピオンに導くためにここにいるんです。家族といる代わりに、自分の仕事に時間の大部分を費やしてきました。軽い気持ちではやりません。

インビテーショナルでは全チームを倒す方法を見つける自信があります。ゲームプランを正しく実行していくことが肝心です。去年の私たちは非常に調子が良く、勝ちパターンを数え切れないほどつかんでいましたし、まずい手筋を避けるのも、とても簡単にできました。

今回は勝利するために、相手との戦い方についてもっと厳密になる必要があるでしょう。このチームには素晴らしい人材が揃っています。Lukeはアナリストに戻り、他にもDrewがいます。私たちはタイトルを全力で守るために、何時間でもずっと取り組んで行くつもりです。 

ファンやライバルチームに向けて、何か言いたいことはありますか?

いつもと変わらず皆さんのことを愛していますし、どんなチームが声援を受けるのかも楽しみです。あらゆる意味でS.I.2021は完璧にはいかないでしょうし、残念ながら「あのS.I.2021」なんて呼ばれることになるでしょう。まぁそうは言っても、もう一度世界の舞台で競技ができることを、皆さんと同じくらい楽しみにしています。

またこの場を借りて、Spacestation Gamingに感謝の気持ちを伝えたいと思います。Shonduras、Unit、Holladay、もっと言えばSSGの全員です。私たちはこのチームに向けられた期待を理解しています。勝たねばと思っています。勝って然るべきということが、総じて余計な重荷になっているようには思います。

とはいえ勝っても負けても、SSGの経営陣や従業員からは、試合後に届く応援メッセージを通して、こちらが厳しい状況に置かれていることは分かっているし、顔を上げて、将来のことを楽しみにしていてほしいということを伝えてもらっています。この言葉に毎週どれだけ安心したことか。そして、そんな風に気をかけてくれることがチームとしてどれだけ重要なことか。

私たちはSpacestation Gamingを愛していますし、皆さんもそうであることを願っています。

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パリでのSSGの最初の対戦相手はTSM。日本時間5月13日午前0時にスタートします。