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APAC North 2020:4つの注目ポイント

新しいフォーマットであるAPAC Northが今夜開幕するのに合わせて、見逃してはならない4つのポイントを紹介しよう。

新しいeスポーツ・フォーマットの中で最も紛らわしいとされるスイス式のリーグ、APAC Northは注目に値する。しかし、注目すべきはそのややこしいフォーマットだけではない。

APAC Northの12 チームはスイス式でリーグを形成するほか、オンラインで、かつBo1で対戦する。まるでチェスのトーナメントさながらだ。ラウンド1の対戦相手はランダム抽選だが、それ以降のラウンドでは勝率が同じチーム同士が対戦する。つまり直前のマッチデーが終わってから、その次のラウンドの対戦相手が決まるわけだ。

これまでAPACリージョンはさらに細かいサブリージョンに分割されており、アジアのベストチームの対決はAPACファイナルを待たなければならなかった。しかしこの新しいフォーマットによって、アジアのベストチームが毎週対戦できるようになった。そこで今回はその全体図の理解に役立つ、今シーズン最も注目すべき重要なストーリーラインをいくつかピックしていこうと思う。

Fnaticは降格を回避できるのか?

シックスインビテーショナル2020でのFnatic

FnaticはAPAC Northへ移籍するにあたって、物理的にも日本へ移動するはずだった。しかし現在オーストラリアから日本への移住は一時的にできなくなっているため、チームには多大な問題が生じている。リーグが彼らのために特別な措置を講じることはできないのは明白で、また言うまでもなく、各国政府がいつ移動制限を緩和するのかという予測を立てることもできない。つまりFnaticの選手たちはオーストラリアのパースから、最も近いアジア・サーバーに接続しながらプレーしなければならないわけだ。

彼らが使うサーバーは、恐らくシンガポールにある「東南アジア・サーバー」になると思われる。しかしここを経由してプレイすれば、FnaticのプレイヤーはPINGの面で不利になる可能性が高い。距離を考えるとPing値は90~140ミリ秒になるため、オーストラリアチームは撃ち合いで勝つのが難しくなってしまう。新型コロナウイルス感染症による災厄に終わりが見えない中、Fnaticはまず降格を避けるために全力で戦わなければならない、という展開になる可能性がある。

ただし彼らには良い兆しも1つある。Patrick "MentalistC" Fanが現在シンガポールに滞在していることだ。彼らに責任はないことだが、それでも他の選手たちは不利な状況に置かれているため、降格を回避するためにFnaticは持てる経験と戦略のすべてを投入しなければならないだろう。

野良連合は頂点に返り咲くことができるのか?

Ninjas in Pyjamas在籍時のAr7hur (Photo: Rainbow 6 Brazil)

野良連合が元Ninjas in PyjamasのコーチであるArthur "Ar7hur" Schubert氏と契約したのは、APACを制覇してきた彼らが、さらに良い成績を維持しようとしてのことかもしれない。彼らはプロリーグ・シーズン11のときも最初の数節は苦戦しており、かつて名声を誇ったこの日本チームを応援するファンたちは、野良連合が(中止となった)APACファイナルを逃してしまうのではないかと危惧していた。

シーズン中盤にAr7hurと契約し、ファイナル出場を果たそうとしたが、終わってみれば6勝7引き分けというショッキングな成績で国内3位だった。Yuta "YUTA INOUE" Inoue (ReyCyilから改名) がチームを離れ、シーズン終了後にTomohisa "Simotuki" Imotoが加入するも、野良連合はジャパンナショナル2020シーズン1決勝の場で、アマチュアチームであるYOBAsに6-8で敗れてしまう。

Simotukiがロースターに溶け込むにはまだ時間が必要であり、Ninjas in Pyjamasの歴史を顧みても、Ar7huのコーチングスタイルにチームが順応するのにもさらに時間が必要であることが分かるが、無駄にできる時間はもはや野良連合には残されていない。他の11チームが野良連合の椅子を狙っていることが確実な今、彼ら日本のレジェンドチームは極めて苛烈な競争に臨むことになるだろう。

競争の激化がCloud9を救うのか、それとも沈めてしまうのか?

Cloud9キャプテンEnvyTaylor。DreamHack Valencia 2019にて

競争の激化といえば、Cloud9の戦いぶりについても、シーズンを通して追っていけば興味深いものが見られるだろう。このチームが最後に成功と呼べる体験をしたのは、彼らがまだmantisFPSの旗の下で無給でプレーしていたシックスインビテーショナル2019でのことだ。そのとき彼らは第1マップで、最終成績で世界チャンピオンとなるG2 Esportsをオーバータイムにまで追い込み、第2マップでも善戦していた。それだけでなく、この韓国チームは同大会でTeam Liquidを相手にマップポイントを獲得している。

しかし、Cloud9と契約して以降のチームの成績は思わしくない。かつてはAPAC最強チームの1つだったが、シーズン9と10のAPACファイナルでは総じて見込みの薄い成績だったと言える。かつては影響力が大きかった韓国国内でも、Cloud9の存在感は少しずつ失われ始めているようだ。プロリーグ・シーズン11では、韓国サブリージョンで2位となったが、その年の初めにはシックスインビテーショナルAPAC予選への出場すら危ぶまれるところだった。

チームのファンは、競争の激化がCloud9にとって追い風になることを期待しているだろうが、もし韓国人が過去の教訓を活かし、新環境からいち早く学びを得ることができなければ、順位表の底に沈んでしてしまうのかもしれない。

Electrify Esportsはどんな試合を見せてくれるのか

The Electrify Esportsのロースター (Image: Electrify Esports)

最後に、APAC Northの開幕に合わせて、完全なダークホースと言えるElectrify Esportsにも注目が集まっている。Electrifyは、7th HeavenとTeam Notoriousが合併して生まれた新チームのロースターを獲得する形でAPACに参入してきた。台湾チームElectrifyはどの選手もトップレベルの試合経験がほとんどないため、彼らは経験豊富な他のチームと駆け引きの面で厳しい立場に追いやられるだろう。

ほとんど知られていない台湾人選手についてだが、2021年シーズンのAPAC Northまでリーグに残留するためには、この情報の少なさを利用していくのが良いだろう。つまり彼らに求められるのは、最新の作戦を見抜き、理解し、そして相手に対応していく力であり、アジアレベルのチームに対抗しながら環境に適応する力だ。よって初めのうちは、プレイスタイルがあまり知られていない点が彼らに利するだろう。しかし順位争いで遅れを取らないためには、さらに努力をする必要がある。


以上のように、新フォーマットのAPAC Northではさまざまな素晴らしい試合やストーリーが期待できるが、まずはそのうちの数試合から見ていきたい。6月23日から、毎週火曜日と木曜日に行われる各試合をお見逃しなく。

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