
ミラノで行われたシーズン9ファイナルズへの出場は、わずか2ラウンドの差で逃してしまったTeam Reciprocity。今シーズンでも同じようなポイント争いとなっていたが、喜ばしいことに彼らは無事に、常滑への出場権を確保できた。
昨シーズンのEvil Geniuses戦では4-5の状態から3ラウンドを連続で取られて白星を逃し、肩を落としてしまった。だが今回のTeam Reciprocityは、頭一つ分の差で2位になって前回の意趣返しができたので、いっそう嬉しかっただったろう。実際のところ、シーズン10での第1試合はEGを相手に7-3とその強さを見せて調子をつけたものの、後に降格するチームであるRogueに引き分けとなり、暫定首位の可能性を消されてしまった。
Spacestation Gamingにも二週目の試合ではどうにか辛勝したが、一週目の2試合と同様に、4日目の試合ではLuminosity Gamingに4-7と敗れてしまった。それでもTeam SoloMidや、後に降格するSoniqs相手に勝ち点を積み上げていったReciprocityだったが、最終的に北米リーグのチャンピオンとなるチーム、DarkZero相手には3敗目を記録してしまった。シックスメジャーへの出場もその4日前に消えてしまったこともあり、リーグ中断期間には自分たちの本質を見極めることに時間を費やし、常滑やシックスインビテーショナル予選を目指すことにした。
DreamHack Montrealではたったの1勝でグループステージ敗退という悲惨な結果だったこともあり、こうした自己分析が必要であることがより一層明白なものとなっていった。Chaosを倒しながらも、RogueやSpacestation Gamingというアメリカのチーム同士の対戦で敗れたのは、特に懸念すべき事柄だった。プロリーグ後半戦が始まると、Evil Geniusesが巻き返してきたことでこの懸念は強まった。Reciprocityは5-7で敗れ、このときの2ラウンド分のわずかな差が、シーズン終了時点で重要な意味を持つことになる。

シックス・インビテーショナル2019会場でのSkys(写真提供:Bruno Alvares)
ファンががっかりしたのは、Canadianに率いられたSSGに3-7という分かりやすい負け戦をしてしまったことで、Reciprocityが勝ち癖を忘れてしまったように見えたことだった。だがRogueとSoniqsに対しては、EGはそれぞれ引き分けだったが、Reciprocityは2試合とも勝利し、戦う姿勢を取り戻すことができた。その後は、活力を取り戻したTeam SoloMidとDarkZeroに二試合連続の引き分けに見舞われ、最終日にはLuminosityに敗れてしまう。しかしその一方でDarkZeroがEGを倒して下克上を果たしており、Reciprocityはどうにか常滑やモントリオールへの切符をわずか2ラウンドという差で引っ掴むことができた。

シーズン10ファイナルズの対戦表
今回はNinjas in Pyjamasと同じリングに放り込まれる。シックス・インビテーショナル2019では2-1で勝った相手との再戦だ。Reciprocityはもう一度NiPを倒しにいくのに十分な勢いに乗れていると自負を持っていることだろう。勝利すればその後は、Natus VincereとWildcard Gamingの試合の勝者との対戦になる。彼らの準備の模様についてさらに詳しく知るために、SiegeGGはAlexander “Skys” Magorにインタビューを行った。
シックスインビテーショナルでは素場らしい戦いぶりでした。ですがその後は成功からはやや遠ざかっています。原因は何なのでしょうか。そして日本に向けて、そうした点をどのように再修正していますか?
インビテーショナルはチームに入ったばかりの僕にとってはハネムーンみたいなもので、どうやってReciprocityでシージをプレイするか調整をしていたんです。理由はどうあれ、あのときの僕らはカチリと噛み合っていました。インビテーショナルではMarkと一緒に多くの試合でIGLをやりました。みんなが僕の指示を聞いてくれて、とても上手くコミュニケーションを取り合えました。プロリーグ・シーズンに向けては、IGLというものは特に決めていなくて、作戦を積み上げておいて、後はその場の状況に応じて個々のスキルに頼っていました。今シーズンはそういうやり方が上手くいかなかったんだろうと思います。
リーグ後半でSpacestation Gamingに3-7で負けた後、僕から役割の変更を提案して、チームのみんなが楽にやれるようにして、試合中のリーダーシップも僕が請け負いました。昨シーズンでも同じことをやろうとはしたんですが、上手くいきませんでした。というのも、誰も「厳しいリーダー」としてのIGLになりきれなかったんです。ですが二度目の試みではみんなが役割を完全にこなして、後半戦は3勝2分けで終える事ができました。僕がIGLの役割を引き継いでから、チームは以前よりも統制が取れて、試合に勝つためには個々のプレイングよりもチームワークに頼るようになりました。
今シーズンはEvil Geniusesとの間で綱渡りの攻防があり、ほんの頭一つ分の差であなた方が制しました。この成果については何か疑問はありますか?
後半戦でのEvil Geniusesとの試合では、勝っておくべきだったんです。それは100パーセント確実に言えます。僕たちには5人対1人の状況だってあったと思います。それでもNathan “nvK” ValentiとMorquis “Modigga” Hribarに1対多の状況でラウンドをうっかり奪われ続けた。漫然とした攻撃をし続けて、連携していなかった。キルレが文字通り10-0だったときもあったと思います。
連携して冷静さを保つという点ではEGの方に分があって、それもあって向こうに巻き返しを許して負けてしまったんだと思います。最終節ではDZがEGを倒してくれないんじゃないかと少し不安でした。彼らにはポイント上、プレイする必要がなかったからです。でも彼らが(他の試合と同じように)まともにプレイをしてくれて、とても嬉しかったです。
あなた方はインビテーショナル以降にロースター変更を行わなかった数少ないチームの一つです。ロースターを変えないまま、どうやって進歩をし、また北米3位から2位へと上がれたのでしょうか。
チーム・ハウスがあったおかげでみんなが責任感を意識し続けることができたので、同じロースターを保つことができました。もしゲーミングハウスがなかったら、ロースター変更もあっただろうと思います。そうなれば出て行くことになっていたのは僕か、それとも他の誰かか。まぁ関係の無い話ですね。僕たちはただ努力を続けて、個人としてもチームメイトとしても成長しようとベストを尽くしたんです。
南米を牛耳っているチームだと考えると、Ninjas in Pyjamasとはきっと厳しい試合になることでしょう。両チームの激突はどんな展開が予想されますか。そして皆さんのゲームプランは?
シックス・インビテーショナル2019にて。Ninjas in Pyjamasへの勝利を讃え合うReciprocity (Photo: Bruno Alvares)
Ninjas in Pyjamas(NiP)とは過去に対戦して倒しています。NiPにはMuziとPsychoという強力なフラッガーとエイムの鬼がいます。なので、とにかく彼らの好きなようにさせないよう、自分たちのプレイをしなければなりません。
オフラインイベントに向けた準備をするときは、最初の試合にどのくらいの時間を費やしますか? 対戦相手が判明したら、その後に戦いそうな相手に対してはどのくらいの準備をしますか?
アメリカの選手たちはだいたい最初の試合に集中します。もしそこで勝てなかったら、後のことはすべて無駄になるので。大会で後に戦いそうな対戦相手については、(コーチとアナリストである)Anthony “HOP3Z” Lee とThomas “Robn” Lindenが、大会への出場が決まった時点で準備を始めています。
チームにはプロリーグ優勝経験のあるロースターはいません。RetroはPCチャンピオンになっただけですし(訳注:イヤー1シーズン3ファイナルズのこと)、あなたやLaXInGもXboxでチャンピオン経験があるだけです。優勝するチャンスはどのくらいだと見込んでいますか?
僕たちは誰からも見下されてはいないし、僕たちもすごく自信があります。
国内や海外のファンの皆さんに向かって、他に何か言っておきたいことはありますか。
うちのチームは全員が、皆さんからいただいた応援に心から感謝しています。皆さんも僕たちのことを誇りに思って欲しいし、僕たちも北米にプロリーグ・タイトルを奪還したいと思います。
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シーズン10ファイナルズの日程表
来週末に行われるシーズン10ファイナルズではTeam Reciprocityの活躍に注目だ。大会は11月9日と10日、試合は共に日本時間の午前10時からスタート予定となっている。Reciprocityはまず始めにNinjas in Pyjamasを下しに行く。もし上手くいけば、決勝戦に向けての次なる相手は、Natus VincereかWildcard Gamingのどちらかになる。